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Flexport CEO:1,120億ドルの関税詐欺が横行、ワシントンは放置

ライアン・ピーターセン氏が語る、崩壊した輸入システム、ホルムズ海峡の危機、そしてグローバル貿易の分断で得をするのは誰か — Relentless podcast、2026年5月26日

誰も語らない「関税詐欺」の実態

物流大手Flexportの創業者兼CEOであるライアン・ピーターセン氏は、ここ半年ほど、月に一度のペースでワシントンD.C.に飛び、米国の輸入システムに開いた巨大な「穴」を是正するよう訴え続けている。これまでのところ、当局の反応は笑顔と頷きだけだ。しかし、同氏が手元に持つデータは、それ以上の重みを持っている。

Flexportが中国政府の輸出統計と、米国到着時に申告された輸入額を照合したところ、2025年だけで1,120億ドルもの乖離が生じていた。関税率を35%と仮定すれば、米国財務省が本来徴収すべき約350億ドルの関税が失われた計算になる。ピーターセン氏は、構造的な改革が行われない限り、この数字は拡大し続けると警鐘を鳴らす。

手口は単純だ。トランプ政権による関税引き上げ前は、関税率が低く、申告額を過少報告するリスクは割に合わなかった。しかし、一時的に145%に達し、現在も35%という高水準にある関税下では、インボイス価格を偽るインセンティブが極めて大きい。「例えば10万ドルの商品を1万ドルと申告すれば、35%の関税を支払う代わりに3.5%で済む。これなら以前と同じコスト感で済むわけです」とピーターセン氏は説明する。同氏によれば、Amazonなどで販売する中国系業者によるこの慣行は蔓延しており、その問題は単なる運用面ではなく、構造的な欠陥にあるという。

米国と英国の2カ国のみに残る特異な制度として、外国企業が米国内に法的な拠点を一切持たずに輸入を行えるというものがある。LLC(有限責任会社)の設立も、米国の銀行口座も、KYC(顧客確認)プロセスも不要だ。「これは性善説に基づいたシステムに過ぎません」とピーターセン氏は指摘する。「もし不正が発覚しても、米国ができるのは中国政府に訴追を依頼することだけです」。事実上、やりたい放題の状態だ。

解決策は複雑ではない。輸入業者に対し、米国内法人の設立とKYCプロセスの義務化を求め、不正には厳格な罰則を設けることだ。これで詐欺が根絶されるわけではないが、大幅な抑制は可能だ。さらに同氏が現在ワシントンで強調しているのは、経済論を超えた「国家安全保障」の観点だ。「現状では、フェンタニルや爆弾など、何でも輸入できてしまう。仮に摘発しても、米国政府はフェンタニルの輸入元を本気で追及していない」。また、IRS(内国歳入庁)の視点も欠落していると同氏は指摘する。利益がオフショアで計上されるため、米国の法人所得税も支払われていないからだ。

ピーターセン氏が特に懸念するのは、これまでほとんど報じられていない点だ。同氏は、Amazonがすでに太平洋航路で最大の貨物フォワーダー(利用運送事業者)になっていると主張する。伝統的な物流企業を追い抜き、その輸送量のかなりの部分が、Amazonのインフラを悪用して過少申告された商品を米国に流し込むサードパーティ業者によって占められているという。「いわゆる『XYZ47』といったブランド名の業者が、価格を不当に吊り下げて市場を荒らしている。その裏には巨額の詐欺がある」と慎重な言葉を選びつつも、同氏はその実態を告発した。

ホルムズ海峡:代替ルートなき「袋小路」

関税詐欺が「静かなる危機」だとすれば、ホルムズ海峡の問題は「急性疾患」だ。ピーターセン氏は、海峡封鎖が意味するものについて率直に語り、米国の石油輸出が増加しているからといって米国が優位に立つという見方を否定する。

世界の石油の20%がホルムズ海峡を経由する。フーシ派による混乱で船がアフリカ周回を余儀なくされた紅海とは異なり、ホルムズ海峡は「袋小路」だ。サウジアラビアには一部の原油を運ぶパイプラインがあるが、それも攻撃対象になり得る。「代替ルートはありません。行き止まりなのです」とピーターセン氏は言う。2月末に海峡が事実上閉鎖されて以来、派遣された米海軍の空母打撃群が海峡を再開できていない事実は、米国のパワープロジェクション(戦力投射)の限界を如実に物語っている。

波及効果は原油価格にとどまらない。肥料(世界供給の30〜50%が中東由来)やヘリウム(カタール単独で世界供給の約30%を占める)も深刻だ。特にヘリウムについて同氏はこう指摘する。「風船のためのガスと思われがちですが、半導体製造やSpaceXのロケット打ち上げに不可欠です。ヘリウムなしではどちらも不可能です」。石油と異なり、ヘリウムは人工的に製造できない。ウランやトリウムの放射性崩壊によって地質学的な時間をかけて蓄積されるものだからだ。世界供給の30%が失われれば、短期的には金で解決できる問題ではなくなる。

収録時点でAir Indiaが国際線を約10%削減したことは、金融市場がまだ織り込んでいない実体経済の初期シグナルだとピーターセン氏は警告する。懸念されるのは価格高騰だけではない。一部の国が買い負けすることだ。「石油価格が急騰すれば、ラオスのような国は競争資金が尽きてしまう」。強力な政府が直接取引を主導できる国が、自由市場で買い付ける民間企業に対して地政学的な優位に立つシナリオを同氏は予測する。

米国石油輸出が史上最高を更新し、米国の生産者が潤っていることは認める。テキサス州の大学のNIL(氏名・肖像・声の利用権)予算が急増するだろうと皮肉る。しかし、これを「ネット(正味)でプラス」と見なす考えには強く反論する。「固定パイの誤謬です。米国が大きな分け前を得たとしても、世界供給の20%が失われればパイ全体が縮小し、多くの苦しみが生まれる」。トランプ氏の政治的インセンティブと、ビジネスを運営する上での健全な経済的判断を混同してはならない。

ピーターセン氏は自身の予測についても率直だ。ロシアによるウクライナ侵攻時、両国の穀物輸出シェアから世界的な飢饉を予測したが、実際にはロシア産穀物の流通継続や中東産肥料の供給増で回避された。「経済は想定以上に回復力のある複雑な適応システムです。しかし、限界を超えれば崩壊する。ホルムズ海峡で我々は火遊びをしているのです」

貿易戦争の歴史的背景

ピーターセン氏は、グローバル貿易の歴史を紐解くことで、現在の投資家が直面している課題――不正の誘惑、チョークポイントの脆弱性、国家権力と商業的開放性の緊張――が、決して新しいものではないことを強調する。

世界初の公開株式会社であるオランダ東インド会社は、過当競争による利益率低下への対抗策として生まれた。商人は船を共同出資し、独占権を確立した。これは現代の独占禁止法下では違法となるものだ。英国東インド会社も同じ手法をとり、政治家に株式を分配して独占を法制化し、英海軍がフランスの競合を排除した。「実質的な賄賂によるものでした」とピーターセン氏は淡々と語る。

特に同氏が注目するのはアヘン貿易だ。英国は中国が求める商品を見つけられず、銀が中国へ流出していた。そこでインドやアフガニスタン産のアヘンを輸出することで帳尻を合わせた。全盛期には中国人口の20〜30%が中毒になった。中国が禁止を試みると、英国は砲艦を送り、北京の宮殿を焼き払って貿易を強行した。「中国が今なおこの歴史に強い憤りを感じているのは当然です」

あまり知られていないのが米国の関与だ。ボストンのフォーブス家(雑誌社とは別)は、中国向けアヘン輸出の約20%を扱っていた。「ボストン・バラモン」と呼ばれる富裕層の起源であり、一族の長はジョン・ケリー氏だ。「オバマ政権がケリー氏を対中交渉の国務長官に任命した際、中国側が快く思わなかったのは当然です。彼らは歴史を忘れないからです」。オバマ大統領訪中時にタラップが用意されなかった有名なエピソードも、この歴史と無関係ではないというのが同氏の持論だ。

船荷証券、ブロックチェーン、そして消えない調整コスト

会話の中で最も示唆に富んでいたのは、貿易における「信頼」のメカニズムがいかに滑稽なほど古いかという点だ。Flexportの顧客の約5%は、今も500年前から続く紙の船荷証券(B/L)を要求する。世界中に紙の書類を郵送することが、同社の業務プロセスの一部として残っている。「紙を偽造するのは非常に簡単です」とピーターセン氏は冷ややかに言う。一部の銀行は、支払いの担保として依然としてこの紙を要求する。

この歴史は、ブロックチェーンやステーブルコインによる貿易金融を考える上で教訓となる。DHLは、コンテナ輸送が船荷証券の郵送よりも速くなってしまったという問題を解決するために設立された。当時は旅行者に航空券を渡し、証券入りのダッフルバッグを運ばせていた。半世紀経った今、Flexportらがデジタル化しようとしているのは、まさにこの課題だ。

大陸をまたぎ、異なる言語とインセンティブを持つ当事者間で複雑な多段階取引を調整する――これこそが、貨物フォワーディング事業の核心的な難しさだとピーターセン氏は指摘する。Flexportは数カ月前にAI翻訳レイヤーを導入し、取引当事者がリアルタイムで母国語でコミュニケーションできるようにした。同氏は、英語そのものを、ヴェネツィアの商人から英国の海軍覇権を経て現代に至るまで、貿易インフラにおける最大のイノベーションの一つと位置づけている。

ユダヤ人の貿易ネットワークに関する議論は、現在のフィンテックやステーブルコインの議論に直結する。ピーターセン氏は、譲渡可能な債務こそが資本主義の基盤であり、その起源は債務の第三者譲渡を認めたタルムード法にあると指摘する(ローマ法では債務の譲渡は認められていなかった)。「ローマ法では『私があなたに借りがある』という関係は売買できませんでしたが、ユダヤ法では債務を売れた。これこそが債券です」。電信以前の時代に民族的マイノリティがコミュニティの絆で解決していた「信頼ネットワーク」の問題こそ、ブロックチェーン推進派が解決できると主張する課題そのものだ。ピーターセン氏は、テクノロジーは非常に古いシステムの進化形であって、革命ではないと冷静に分析する。

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