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クアルコム、Apple向け見通しを下方修正 データセンター目標は2029年度に400億ドルへ倍増

2026年度第3四半期決算説明会(2026年7月29日)

クアルコムが発表した2026年度第3四半期の売上高は99億ドル、非GAAPベースの1株当たり利益(EPS)は2.21ドルとなり、いずれもガイダンスの上限に達した。しかし、29日の決算説明会で注目を集めたのは四半期業績そのものではない。AppleのiPhone事業からの撤退が想定以上に加速していること、そしてデータセンター事業の目標を劇的に引き上げたことだ。経営陣は、データセンター事業の拡大により、Appleからの減収分を1会計年度内に完全に相殺できるとの見通しを示した。

Appleからの撤退、想定を上回るペースで進行

アカーシュ・パルキワラ最高財務責任者(CFO)は投資家に対し、次期iPhoneにおけるクアルコムのシェアは「従来予想の20%を大幅に下回る」と説明した。また、Apple向け製品の売上高は、9月四半期から12月四半期にかけて前四半期比で約50%減少する見込みだという。バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、クアルコムが他分野へ供給能力を振り向けるために意図的にAppleへの供給を絞っているのではないかと追及した。パルキワラ氏はその表現こそ否定したものの、「供給制約が(要因の)一部であった」と認め、Appleの2027年度製品売上高が、以前のガイダンスである「20億ドル強」を大きく下回ることを事実上認めた。ラスゴン氏が試算した代替対象となるApple関連の総売上高は約75億ドルで、パルキワラ氏も「妥当な試算範囲」と回答した。 クアルコムのApple離れに対する回答は明確だ。パルキワラ氏の準備稿によれば、2027年度にはハンドセット以外の売上高が前年比60%以上の成長を遂げ、「2026年度のApple製品売上高の総額」を1年以内に補う見通しだという。

データセンター目標をほぼ倍増

今回の決算で最も重要な新情報は、ハンドセット以外の売上高目標の大幅な上方修正だ。投資家向け説明会(インベスター・デー)で先行して示唆されていた内容が、今回改めて確認された。経営陣は、自動車、IoT、データセンターを合わせた売上高目標を、従来の220億ドルから2029年度までに400億ドル超へと引き上げた。データセンター単体では、2027年度に50億ドル、2029年度には150億ドル超を見込む。わずか1年前にはクアルコムの売上構成比にほとんど存在しなかった事業だ。 クリスティアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)は、このタイミングについて「エージェント型ワークロードがAIの経済性を再定義する中、クアルコムが市場に参入する上で理想的かつ論理的な時期だ」と述べた。コネクティビティ、カスタムシリコン、AIアクセラレータ、そして将来的にはサーバークラスのCPUを組み合わせたクアルコムの強みが、分散型推論やTCO(総保有コスト)の削減を求める需要に合致していると強調した。グローバル規模のハイパースケーラー2社とのカスタムシリコン契約は12月四半期から収益貢献が始まり、ウエハー生産も既に開始されている。また、クアルコムは、演算と高密度メモリを直接統合する初の「High Bandwidth Compute」製品のテープアウトを完了したことも明らかにした。2027年半ばの発売に向け、今後数四半期以内にシリコンのデモンストレーションを行う予定だ。 ただし、投資家はこうした立ち上げにコストが伴うことを認識しておく必要がある。パルキワラ氏は、当初は利益率の低いカスタムASIC契約が中心となるため、データセンター事業がQCT(クアルコムCDMAテクノロジーズ)の加重平均粗利益率を1.5〜2ポイント押し下げる要因になると指摘した。これは、中核事業が過去の水準である48〜50%に回復した後も同様だという。

メモリコスト高騰で粗利益率に圧力、値上げへ

QCTの粗利益率は、クアルコムの過去のレンジを下回っている。これは、メモリコストの上昇を受け、OEMがプレミアムハンドセット向けに安価で旧世代のシリコンを採用する動きが強まっていることや、ウエハー製造、組立、テスト、先端パッケージング、メモリといった入力コスト全般の上昇が重なっているためだ。これに対し、クアルコムはポートフォリオ全体で2桁台の値上げを実施する方針をパルキワラ氏が明らかにした。業界他社と同様の措置だが、既存の契約や製品サイクルがあるため、その効果は段階的に現れる見通しだ。 アモン氏は値上げによる需要リスクを軽視し、「2桁台の値上げは、入力コストやウエハー価格の上昇分を転嫁しているに過ぎず、メモリの部品表(BOM)コストと比較すれば小幅なものだ」と述べた。また、業界はパンデミック期を彷彿とさせるフル稼働状態にあると指摘。「規模の経済が効くことは我々にとって追い風だ」とし、クアルコムの在庫状況が、小規模な競合他社を苦しめる供給不足に対する緩衝材として機能していると強調した。

自動車向けガイダンス引き上げ、BMWとの契約を強調

自動車部門は、今回の決算で最も明るい材料だ。四半期売上高は前年比61%増の16億ドルと過去最高を記録。経営陣は2026年度の年間出口ランレート目標を、前四半期の60億ドルから約70億ドルへと引き上げた。この上方修正は、BMWとの拡大合意が寄与している。アモン氏はこれを「非常に競争の激しい選定プロセス」を勝ち抜いた成果だとし、BMWの次世代ADAS(先進運転支援システム)およびデジタルコックピットプログラムにおいて、今後10年にわたりクアルコムが主要な演算シリコンプロバイダーとなることを意味すると語った。また、Stellantisとの提携により、自動車向けデザインウィンのパイプラインは2030年代まで拡大している。経営陣は、OEMがソケット単位の交渉ではなくプラットフォームベースでクアルコムと関わるケースが増えており、これが車両1台あたりのシリコン搭載率を予想以上のペースで押し上げていると指摘した。

中国のハンドセット需要は底打ち

苦戦が続くハンドセット事業について、経営陣は中国市場に対して建設的な見方を示した。パルキワラ氏によれば、中国OEM向け売上高は6月四半期に底を打ち、現在の四半期には前四半期比で2桁成長に戻る見込みだという。これは根本的な需要回復というよりは、チャネル在庫の調整が一巡したことによる影響が大きい。2027年度のハンドセット売上高ガイダンスは、スマートフォン市場全体が2026年度比で10%台前半のマイナスになると想定している。これは主に低価格帯での減少を反映したもので、QCTのAndroid売上高が前年比で約20%減少すること、そしてEPSに対して1.5ドル超の逆風となることを意味する。経営陣は、状況が正常化すれば将来の追い風になると位置づけている。

Modularの買収完了、ソフトウェア戦略が本格化

クアルコムは決算発表当日に、AIインフラソフトウェア企業Modularの買収を完了した。アモン氏は、この買収が「データセンターおよびエッジAI展開に向けた、ハードウェアに依存しないエンドツーエンドのソフトウェアスタック」の中核をなすと説明した。単なるエンジニアリング人材の獲得以上の戦略的意図について、同氏は次のように明言した。「Modularを通じた我々のビジョンと目的は、AIソフトウェアの能力を強化するだけにとどまらない。AIソフトウェアに対する現在の業界のアプローチを、閉鎖的なものからオープンなシステムへと変革する野望がある」。この統合によりクアルコムの営業費用は増加し、第4四半期の非GAAPベースの営業費用は約27億ドルを見込んでいる。これはModularの買収費用と、データセンター事業の立ち上げに向けた継続的な投資を反映したものだ。

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