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JPモルガン・チェース、利上げを背景に2027年コアNIIの見通しを1,070億ドルに設定――ダイモン氏、6%の収益利回りでの自社株買いより「事業への内部再投資」を優先し、買い戻しは10億ドルにとどめる

2026年第3四半期アーニングズコール(2026年10月13日):純利益は153億ドル、ROTCEは20%を記録。信用条件と金利に対してはより慎重な姿勢を示す

JPモルガン・チェースが発表した第3四半期の純利益は153億ドル、1株当たり利益(EPS)は5.57ドル、ROTCE(株主持分当期純利益率)は20%となった。売上高は前年同期比8%増(コーポレート部門における投資有価証券の売却損6億5,800万ドルを除くと同9%増)の509億ドル。費用は、業務量および収益連動コストや賃インフレを背景に12%増の273億ドルとなり、発表ベースではマイナスのオペレーティング・レバレッジとなった。信用コストは27億ドルで、このうち純貸倒償却が22億ドル、引当金の積み増しが5億3,900万ドルとなっている。

資本政策:自社株買いを10億ドルへ縮小、制約ではなく経営判断によるもの

最も顕著な変化は資本還元にあった。UBSのアナリストであるエリカ・ナジャリアン氏が、通常の約70億ドルというペースに対して自社株買いが約10億ドルにとどまった理由について質問したのに対し、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、これがAOCI(その他の包括利益累計額)、バーゼルIIIの不確実性、あるいはマクロ環境への警戒感を反映したものではないと否定した。同行は約300億ドルの過剰資本を保有しており、経営陣は現在、その資本を「長期的に非常に良好なリターンで再投資できる」と考えていると述べ、これを「6%程度の収益利回りでの株式買戻しよりもはるかに優れている」と表現した。

普通株等Tier 1(CET1)資本比率は30ベーシスポイント低下して13.9%となった。これは純利益を、OCI損失、リスク・アセット(RWA)の増加、および株主還元が相殺したためである。標準的手法に基づくRWAは約520億ドル増加したが、これは銀行部門、マーケッツ部門、およびAWM(アセット&ウェルス・マネジメント)部門全体での融資の伸びに加え、エネルギー価格の高騰や市場のボラティリティの影響によるものである。ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、CET1比率が積極的な内部投資と自社株買いの期間を経て約15.7%から13.9%に低下したと指摘。過剰資本に対する事業再投資のペースからして、内部留保を優先することは「極めて明快である」と述べた。

ダイモン氏は、1兆5,000億ドル規模の10カ年融資・投資プログラムである「セキュリティ・レジリエンス・イニシアチブ(Security and Resiliency Initiative)」を資本の主な配分先として挙げた。初年度の投資額は「おそらく200億ドルを超えており」、最終的な数値は「さらに大幅に増加する」との見通しを示した。また、単一国からの100億〜200億ドル規模の融資要請についても言及した。経営陣はこれらの投資によるリターンを数値化せず、今後半年間の見通しについても多くを語らなかったため、自社株買いと成長投資のトレードオフはダイモン氏の説明に依拠するものとなっている。

2027年のNII:中心シナリオは1,070億ドル、利上げ効果は全体の4分の1にとどまる

経営陣は、マーケッツ部門を除く第4四半期の純金利収入(NII)を約255億ドル、総NIIを約280億ドルと予想している。また、2027年のマーケッツ部門を除くNIIの中心シナリオとして約1,070億ドルを提示した。バーナム氏によると、第4四半期の水準を年率換算すると約1,020億ドルとなり、今回のガイダンスは約50億ドルの増加を意味する。そのうち約4分の1は、フォワードカーブに織り込まれた利上げ(12月に1回、2027年上半期に2回)に起因するものである。預金ベータがモデル予測を下回っているため、同行は引き続き資産感応型であり、「EAR(収益資産感応度)が示しているよりもおそらく少し資産感応度が高い」状態にある。

残りの部分は、今年見られたバランスシートの成長と構成のトレンドの継続として説明されている。すなわち、個人預金の緩やかな増加、卸売預金の継続的ではあるもののやや鈍化する増加、そしてカードローン残高の増加である。バーナム氏は、これらの前提条件は「いかなる状況下でも極めて不確実性が高い」と警告し、ダイモン氏も不確実性は通常時よりも大きいと述べた。

費用面に関しては、第4四半期の予想は約275億ドルである。バーナム氏は、市場コンセンサスが予想する2027年の費用約1140億ドルは経営陣の初期見解と大きく乖離していないと述べた。これは、経営陣がコンセンサス予想を低すぎると指摘した昨年とは対照的であり、コストに関するポジティブあるいはネガティブなサプライズはない。カードの純貸倒償却率のガイダンスは約3.2%に据え置かれている。

預金と金利サイクル

CCB(コンシューマー・コミュニティ・バンキング)の預金は前年同期比4%増加し、当四半期には約65万件の純新規当座口座を獲得した。バーナム氏は、金利上昇が新たな疑問を生み出していると指摘。当座預金や普通預金からCD(譲渡性預金)への資金移動、平均支払金利の上昇、「わずかな追加的流出圧力」を見込んでおり、キャッシュ・ソルティング(現金移動)が完了したという見方は支持していない。同行の預金基盤は、高ベータの卸売預金、CD、プレミアム預金が一方に偏り、もう一方には大規模な低ベータの預金が積み重なる、いわゆる「バーベル型」であると表現した。主要な変数はいずれか単一商品の価格設定ではなく、商品間の資金移動である。さらに、この金利水準を起点とする利上げサイクルの過去データは乏しく、それに依拠して訓練されたモデルには限界があると警告した。

無利息預金についてダイモン氏は、大部分が個人預金であり、卸売預金は「はるかに競争が激しい」と述べた。バーナム氏は、ECR(収益クレジットレート)商品が報告上の卸売預金の構成を歪めていると付け加えた。

セグメント別業績:株式部門が好調、債券部門は軟調、銀行業務は減速

CCBは売上高が9%増の212億ドルとなり、57億ドルの利益を計上した。デビットカードおよびクレジットカードの利用額は10%増となり、ガソリンおよび旅行関連が好調だった。顧客投資資産は15%増の1兆4,000億ドルに達した。

CIB(コーポレート・インベストメント・バンク)は売上高が14%増の227億ドルとなり、82億ドルの利益を計上した。投資銀行(IB)手数料はアドバイザリー業務が牽引し14%増加した。株式(エクイティ)部門の収益は、プライムおよびデリバティブが寄与し49%急増した一方、債券(フィクスト・インカム)部門はコモディティ、金利、クレジットの不振により4%減少した。バーナム氏は銀行業務について慎重な姿勢を示し、「足元では市場環境の変化により活動がやや減速している」と述べ、金利の急落(売買)が「9月後半に」買い手と売り手にバリュエーションの再考を促し、活動の一時停止につながったと説明した。ダイモン氏は、案件のパイプラインは「アコーディオンのようなもの」であり、いかなる予測も「外れるだろう」と述べた。欧州市場については、IPOを含めて予想以上に健全であると評した。マーケッツ部門については、基本シナリオとして第3四半期から第4四半期にかけて通常の季節的な減速を見込んでいるが、ダイモン氏は通常のパターン通りにならない可能性もあるとの見方を示した。

AWMは売上高が14%増の6億9,000万ドルとなり、税引前利益率36%で18億ドルの利益を計上した。長期の純資金流入は51億ドルで、主に債券が中心となった。AUM(運用資産残高)は5조2,000億ドル、顧客資産は7兆9,000億ドルに達した。

信用リスク:限界的な引き締め

ダイモン氏は、JPモルガンが「信用供与について若干引き締めている」と述べ、緩和された条件、弱まった財務制限条項(コバナント)、そして優良資産に対する「過度なプライミング(先回り買い)」を理由として挙げた。「もはやそういったものを無理に追いかける必要はないと感じている」と語った。バーナム氏は、卸売部門の引当金積み増しは格下げではなく新規の事業活動を反映したものであり、見通しは安定していると述べた。それにもかかわらず、C&I(法人向け商業融資)やCRE(商業用不動産)において、エネルギー価格、燃料コスト、高金利による圧力が強まっていると指摘した。

個人向け信用についてバーナム氏は、その健全性は強固な労働市場にかかっていると述べた。高水準の実質金利が長期化して経済を冷え込ませた場合、「失業率の上昇を伴い、結果として個人向け信用的実績の悪化を招くことになる」。中堅企業顧客はコスト上昇やディーゼル燃料の高騰に対処しつつ慎重姿勢を保っているが、バランスシートは強固である。

AI関連融資についてバーナム氏は、同行全体の卸売向けエクスポージャーと比較して「依然としてかなり小規模」であるものの、市場センチメントが大きく変化した場合にはJPモルガンも無縁ではいられないと述べた。現在、AI向けファイナンスは建設融資にとどまらず、運転資金の当座借越(リボルバー)や株式市場にも及んでいるため、ストレステストは企業全体をカバーする必要があるとした。

AI:利益への貢献はまだ見えず、外部エージェントへの門戸は開放せず

ウェルズ・ファargoのマイケル・メイヨ氏の質問に対し、バーナム氏はAIの恩恵が「現在の四半期決算において確認できるものではない」と認めた。以前の数値には不正検知などの領域における機械学習が含まれていたため、今後は効果の数値化から距離を置く方針であり、厳密な追跡は社内の労力の無駄になると述べた。また、現在のAI関連支出は以前に取りざたされた約20億ドルという数字を大幅に下回っており(トランスクリプトでは引用された数値が聞き取りにくかったと説明)、支出が多岐にわたりすぎて切り分けが困難であるとした。レガシーツールを数週間で書き直す実験例を挙げたが、その効果はトークンコストによって相殺される可能性があると指摘した。同行はモデルやハーネスに依存しない中立的な立場をとっており、コスト制御のためのルーティングツールを用いながら、独自モデルとオープンウェイトモデルの双方を稼働させている。

エージェント型AIによる競合についてバーナム氏は、パーソナル・エージェントとは利回りを求める資金フローとフィンテックの競争が交差する点であり、「新しいものではない」が油断する理由にはならないと述べた。JPモルガンはプライマリーバンクとしての関係構築に注力しており、「利回りを求めるあらゆる資金を追いかけているわけではない」とした。ダイモン氏は、同行が「どのようなエージェントであれ」社内への侵入を許すことはないと述べ、バーナム氏は顧客保護の観点から認証情報の共有や画面スクレイピングによるアクセスをブロックしていると言い添えた。「スマート・キャッシュ(Smart Cash)」プロダクトはターゲットを絞ったパイロット版として稼働中であり、さらなるアップデートが予定されている。

資本規制、流動性、およびリターン目標

ダイモン氏は、ディスカウントウィンドウ、FHLB(連邦住宅貸付銀行)、LCR(流動性カバレッジ比率)、QLAの扱いなど、規制当局による流動性規則の見直しを歓迎し、より安全な銀行はより多くの資本を展開できるようになると述べた。バーナム氏は、資本と流動性のバランスが改善されれば、資産は住宅ローンや個人向け信用などのリスク密度が低い融資へとシフトするだろうと語った。ダイモン氏はさらに、FRBのバランスシート縮小には規則の変更が必要になると付け加えた。ナジャリアン氏は、バーゼルIIIエンドゲームやG-SIB(系統的重要性を持つ金融機関)規則が年末までに最終決定される見通しであるとの報道に言及した。

現在の20%という実績に対して、サイクルを通じたROTCE目標である17%についての質問に対し、ダイモン氏はこれを変更することを拒否し、「市場で何かが起きるたびに変更したくはない」と述べた。バーナム氏は、すべての事業が同時に過去最高を記録するのは「歴史的基準から見て典型的ではない」と付け加えた。10年債利回りが6%近辺にある状況下での市場イベントの予測を求められたダイモン氏はこれを避け、「あらゆる結果に備えている」と述べるにとどめた。

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