CRH、85億ドルでArcosaを買収し米インフラ事業を拡大 データセンター200件で稼働中
2026年第2四半期決算説明会(2026年7月30日)
建材大手CRHは第2四半期決算発表を通じ、機関投資家が数カ月前から注目してきた戦略を改めて強調した。同社は米国の再工業化ブームにおいて不可欠なサプライヤーとしての地位を固めており、その優位性をさらに強固にするために積極的な投資を辞さない構えだ。最大の注目点は、85億ドルでのArcosa買収合意である。この買収により、CRHの北米における骨材生産量は年間2億6,500万トンを超える見通しだ。CEOのJim Mintern氏によれば、Arcosaとの統合後の2026年EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は、米国の競合上位4社の合計を上回る規模になるという。
1株あたり150ドルで構成された本買収は、Arcosaの株主および規制当局の承認を経て、2027年第1四半期に完了する予定である。Mintern氏は、年間3,500万トンの骨材供給増に加え、これまでCRHにとって「地理的な空白地帯」であったダラスとフェニックスという2つの拠点を確保できる点を強調した。さらに、エンジニアリング構造物やエネルギー送電製品といったセグメントへの進出も果たし、同氏はこれを「今後5年間、米国建設市場で最も成長が見込める分野の一つ」と評している。COOのRandy Lake氏は、統合から3年以内に年間1億7,500万ドルのコストシナジーを見込んでおり、初年度には業務改善や材料の自社供給、調達規模の拡大により6,000万ドルの効果を達成する計画を示した。
なお、CRHはArcosaの統合を優先するため、直近の枠をもって自社株買いプログラムを一時停止した。経営陣はこれを資本還元方針の変更ではなく、あくまで一時的な措置であると説明している。同社は2018年以降、約100億ドルを株主に還元し、発行済株式総数の24%を消却してきた。
データセンター:逸話から具体的な数値へ
今回の決算説明会で最も具体的な新事実は、Goodbody社のShane Carberry氏によるデータセンター関連の質問に対する回答の中で明らかになった。経営陣は、CRHが現在米国内で200件のデータセンタープロジェクトに携わっていることを認めた。全米2,000カ所の拠点を活用することで、発表済みの米国内データセンター全サイトの85%に対し、25マイル(約40キロ)圏内で供給可能な体制を整えている。Mintern氏は、これらのプロジェクトの規模を示す具体例として、テキサス州東部の85エーカーに及ぶデータセンター用地を挙げた。CRHはここで300万トンの骨材を供給するほか、地中水・エネルギーインフラ、セメント系安定化材、生コンクリート、アクセス道路や駐車場用のアスファルトなども一括で供給する。
「単一の製品を納入するだけではない」とMintern氏は語る。同氏は、CRHが通常、数年にわたる建設プロジェクトの初期段階から参画し、その後の各フェーズで再関与する仕組みを説明した。また、CRHは「2年ほど前」からデータセンター専門の知識を持つ専任営業チームを構築しているという。ゼネコン経由ではなく、ハイパースケーラー(巨大IT企業)と直接連携して材料仕様を決定する戦略へ転換しており、Lake氏によれば、ソルトレイクシティ、ダラス、タンパ、オースティンなど30以上の都市圏で、設計から施工までを一貫して支援するクロスプラットフォーム型のチームを編成している。
悪天候とインフレ下でも予想を上回る決算、通期見通しを維持
戦略的な成長物語の裏側では、堅実な業績が示された。売上高は前年同期比6%増の108億ドル、調整後EBITDAは7%増の26億ドル超となり、利益率は30ベーシスポイント(bp)改善した。Mintern氏は、米国南部および南東部で5月と6月に「天候による中断」があったにもかかわらず、この結果を達成したと強調した。希薄化後EPS(1株当たり利益)は、事業売却による1株あたり0.16ドルの純利益押し上げもあり、14%上昇した。経営陣は通期の調整後EBITDAを81億〜85億ドル、純利益を39億〜41億ドル、希薄化後EPSを5.60〜6.05ドルとする見通しを据え置いた。インフラ需要の継続的な勢いに加え、IIJA(インフラ投資雇用法)予算の約40%が年末時点でも未消化である点を根拠に挙げている。
CRHはまた、審議中の「BUILD America Act」についても言及した。同法案は道路、交通、安全プログラムに対して5,800億ドルの支出を承認する内容であり、同社にとって追い風となる見込みだ。Lake氏は短期的には暫定予算措置が続く可能性を認めつつも、「州レベルでメンテナンスや新規建設の意欲が減退したり、躊躇したりしている様子は全く見られない」と述べた。過去の傾向として、暫定予算下では州政府が支出を補修やメンテナンスに振り向ける傾向があり、米国最大の道路舗装業者であるCRHにとって有利に働くという。
Americas Materialsが好調、Building Solutionsは低迷
CRHの事業部門間では明暗が分かれた。Americas Materials Solutionsは、売上高が10%増、EBITDAが12%増と際立った結果を残した。骨材価格は2%の数量増を伴って5%上昇し、インフレ下でも利益率をさらに40bp改善させた。経営陣は、骨材、セメント、アスファルト、舗装を網羅する同部門のネットワークが、天候不順やコスト圧力を競合他社よりうまく吸収できた最大の要因だと指摘した。Mintern氏によると、2025年で12年連続の利益率改善を達成しており、2026年も13年連続の達成が確実な情勢だ。
一方、Americas Building Solutionsは対照的な結果となった。売上高は2%減、EBITDAは8%減となった。これは最近の事業売却や、住宅の新築需要の低迷、さらにMintern氏が指摘した「高止まりする輸送コスト」が影響している。同社は現在、価格転嫁やコスト削減でこれに対処しており、第3〜第4四半期には改善が見込まれるとしている。経営陣は、住宅市場の回復は「早くても2027年後半」と率直に認めており、住宅関連の生コンクリートやセメントの需要は、商業・インフラ関連の需要がグループ全体を牽引する中でも、今後数四半期は重荷となる見通しだ。
セメント価格は軟調、数量は堅調
アナリストが注視した項目の一つがセメントである。上半期の販売数量は3%増となったものの、第2四半期の価格は1%下落し、2024年の8%上昇から一転した。Mintern氏は、数量の堅調さは市場全体の需要というより、相次ぐ買収後の自社供給増によるものだと説明した。一方で、Eco Material事業の貢献を含めたミックス調整後の価格はプラスを維持していると指摘した。同氏は、住宅市場の回復がセメント価格を再浮上させる鍵になると示唆しつつも、価格下落にもかかわらずセメント事業の利益率は改善していると強調し、ポートフォリオ統合による効率化の成果をアピールした。