DruckFin

Datadog、2022年以降で最高の四半期決算 AI以外の事業が5四半期連続で加速、最大顧客の利用減を補完

2026年第2四半期決算(2026年8月6日発表)

Datadogが過去4年間で最高の四半期業績を達成した。売上高は前年同期比36%増の11億2,000万ドルとなり、会社側のガイダンス上限を上回った。四半期ベースの売上高増加額は1億1,500万ドルと過去最大を記録している。しかし、この数字以上に重要な事実は、同社最大の顧客による利用減少分を除外しても、中核事業の成長率が5四半期連続で加速している点だ。この規模のソフトウェア企業で、現在の市場環境においてこうした成長トレンドを維持できている例は極めて稀である。

AI以外の事業が静かに成長を牽引

今回の決算で最も注目すべきデータは、AI関連ではない顧客基盤からの収益成長だ。AI以外の顧客による売上高成長率は前年同期比で20%台後半まで加速した。前四半期は20%台半ば、1年前は18%であった。CEOのOlivier Pomel氏は、この重要性について次のように説明する。「最大顧客の影響を除外しても、残りの事業は非常に安定して加速しており、成長率はほぼ同水準だ。非AI領域の事業は5四半期連続で成長が加速している」。CFOのDavid Obstler氏は、この要因として、営業体制の強化と地理的な市場拡大が「成果を上げている」こと、さらにAI導入がAIネイティブ企業以外にも波及し、クラウド移行とモダナイゼーションを加速させている追い風を挙げた。

最大顧客が契約更新も利用量は減少

Datadogは、同社最大の顧客(17種類のDatadog製品を利用するAI大手企業)による利用減少を明らかにした。この顧客との契約は9桁ドル規模に及ぶ。経営陣は第3四半期および通期のガイダンスにおいて、この顧客による影響を完全に「リスク排除」した。Pomel氏はその判断について、「特定の顧客に何が起きているかを我々が制御することはできないが、それ以外の事業については高いコントロール権を持っている。事業は好調であり、他で起きている加速をこの件で覆い隠したくはない」と述べた。Pomel氏とObstler氏は、利用減少が価格再交渉によるものか、ワークロードの削減によるものかについては明言を避けた。アナリストから契約期間や解約条件について繰り返し質問があったものの、詳細な回答は得られなかった。その結果、第3四半期の売上高成長率ガイダンスは前年同期比28%〜29%となり、過去の四半期推移を下回った。これを受け、KeyBancのアナリストからは、この見通しに保守的な想定がどの程度含まれているのかを問う声が上がった。

AI顧客層がスタートアップ以外へ拡大

DatadogのAI顧客数は750社を超え、世界のAIリーダー上位10社すべてが名を連ねる。年間支出額が100万ドルを超える顧客は31社、1,000万ドルを超える顧客は8社に達した。特筆すべきは、顧客層が従来のAIラボだけでなく、自社でAIラボを運営するハイパースケーラーにまで拡大している点だ。今四半期には、モデルトレーニングの可観測性(オブザーバビリティ)を目的として、2つのAIラボから7桁ドル規模の年間契約を獲得した。Pomel氏は、このユースケースについて「数年前は我々のビジネス領域ではなかった」と指摘する。エージェントによる活動はさらに急速に拡大しており、MCPツールコール数は前四半期比で4倍、2025年第4四半期比では22倍以上に達した。経営陣は、これが推論主導型の可観測性支出への構造的転換を示す変曲点であると見ている。

「Bits AI」が単一機能からプラットフォームへ進化

DatadogのAIエージェント製品「Bits AI」は、当初の目的から大きく進化を遂げた。Pomel氏によれば、「Bits AIは以前、アラートに特化した比較的限定的なツールだった。現在はチャット、調査、モニター作成、コード生成、テスト自動化、リリース検証など、顧客との接点が大幅に広がっている」。同社は、この利用範囲の拡大を反映するため、AIクレジットベースの価格モデルへの移行を進めている。自動化が消費ベースの収益モデルを食い荒らす(カニバリゼーション)のではないかとの懸念に対し、Pomel氏は強く否定した。「顧客はBits AIを使うことで、より多くの製品を利用するようになる。デプロイ量が増え、ダッシュボードやアラートも増える。これはゼロサムゲームではない」。エージェントによる自動化が最終的にDatadogが収益化する可観測性データ量を拡大させるのか、あるいは圧縮させるのか。この動向は今後数四半期にわたり注視すべき重要な焦点となる。

セキュリティ戦略:AI SOCへの野望

Datadogは、AIネイティブな脅威環境に対応するため、セキュリティスタックの再構築を進めている。「Bits AI Security Analyst」を自社のSIEMから切り離し、競合他社のSIEM製品上でも動作するようにした。Pomel氏は、これを意図的な市場拡大戦略と位置づける。「SIEMの入れ替えを望む顧客だけをターゲットにすれば、販売市場は限定されてしまう。AI SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)として提供することで、より広範な需要を取り込める」。同社は、エージェントの発見やプロンプトインジェクション攻撃に対する実行時保護を目的とした「AI Guard」製品を投入したほか、脆弱性アラートのノイズを95%以上削減する「Runtime Prioritization Engine」も発表した。Pomel氏は、この変化を「セキュリティ製品のあり方の完全な転換だ。人間が介在するのを待っていては間に合わない。業界の大部分にとって、根本的な作り直しが必要になる」と断言した。

エンタープライズ向け「Land-and-Expand」の経済性が向上

エンタープライズ向け新規顧客の年間契約額は前年同期比で2倍以上に増加した。また、新規顧客が収益化するまでの期間も短縮されており、第2四半期の売上高成長率の約30%を寄与した(第1四半期は25%)。売上継続率(NRR)は120%台前半、粗継続率は90%台半ばを維持した。プラットフォーム統合による経済性の高さを示す事例として、Fortune 100に名を連ねる医療保険大手が19製品を導入したケースや、大手オンラインメディア企業が競合4ツールをリプレースし、3,000万ドル超の複数年契約を締結した事例などが挙げられた。後者は、ペタバイト規模における同社最大の「Bring Your Own Cloud」案件となった。

ガイダンスと利益率

通期の売上高ガイダンスは44億5,000万ドル〜44億7,000万ドル(成長率30%)とし、非GAAP営業利益率は23%を見込む。第2四半期の売上総利益率は79.6%となり、第1四半期の80.2%、前年同期の80.9%からわずかに低下した。Obstler氏はこれを構造的な変化ではなく、継続的なイノベーション投資によるものとし、同社が掲げる80%超の目標レンジを維持する姿勢を強調した。フリーキャッシュフロー(FCF)マージンは25%(FCF額は2億7,900万ドル)。バランスシート上には50億ドルの現金を保有しており、研究開発への投資余力は十分だ。これには、「Bits AI」のトレーニング後モデル研究を加速させる目的で最近買収したAdaptive MLも含まれる。

免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや有価証券の売買、保有を推奨するものではありません。 当社のアナリストは企業イベントに関する詳細な情報を提供しますが、間違いを犯す可能性もあるため、常に独自のデューデリジェンスを行ってください。 表明された見解や意見は、必ずしもDruckFinのものを反映するものではありません。 当社は、ここに使用されているすべての情報を独自に検証したわけではなく、誤りや欠落が含まれている可能性があります。 投資決定を下す前に、資格のある財務アドバイザーにご相談ください。 DruckFinおよびその関連会社は、このコンテンツへの依存から生じるいかなる損失に対しても責任を負いません。 完全な規約については、利用規約をご覧ください。