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LY Corporation、カカクコムに6,900億円の巨額投資へ 検索減の底打ちとPayPayの59%増益を背景に

2026年度第1四半期決算説明会(2026年8月3日)

LY Corporationが発表した第1四半期決算は、社内計画を上回る好調な結果となった。連結売上収益は前年同期比13.1%増の5,539億円、調整後EBITDAは23.1%増の1,548億円に達した。マージンは28%まで拡大しており、CFOの坂上亮介氏はこれを一過性のものではなく「構造的なステップアップ」と評した。しかし、今四半期の最大の焦点は戦略面にある。LYはベインキャピタルとの共同提案により、カカクコムに対するTOB(株式公開買付け)を進める方針を固めた。買収総額は約6,900億円に上る。経営陣は、競合他社に先駆けてAI時代のトランザクションデータを確保するための「今しかない」決断であると強調した。

カカクコム:「今回が最後のチャンス」

質疑応答ではカカクコムへのTOBに質問が集中し、経営陣は極めて異例の強い危機感をあらわにした。坂上氏は、投資回収の目安となるIRR(内部収益率)のハードルレートは10%を維持すると説明。アナリストから指摘された4〜5%とされる利回りとの乖離については、「食べログ」が最大のシナジー源であると強調し、「最も注力したい領域であり、避けては通れない道だ」と語った。また、カカクコムが持つ広範な製品データや口コミデータは、LYのAIエージェント「Agent i」のナビゲーションエンジンを強化する重要なピースになるとの見解を示した。

CEOの出澤剛氏は、なぜ今この買収が必要なのかについてさらに踏み込んだ。同氏は、AIエージェントは質問への回答には長けているものの、レストラン予約や商品比較、求人マッチングといった現実世界のコンバージョン(成果)を伴うタスクにおいては、集中化されたネットワークデータが不可欠だと指摘した。カカクコムが展開する「食べログ」「価格.com」「求人ボックス」の3事業は、まさにそのコンバージョンポイントに位置している。「AIによる変化は今後数カ月で急速に拡大する」と出澤氏は述べ、この機会を逃せば「自社開発を含む戦略の転換を余儀なくされる」と明言した。経営陣は、PayPayのパートナーシップと同様のソフトバンクグループとの連携強化など、代替案の存在も認めたものの、今回のTOBが最も優先度が高く、時間的猶予がない選択肢であると強調した。資金調達にはデットレバレッジを活用する見込みだが、10%のIRR目標は「確実性の高い」シナジーを含めた水準であり、投機的な上振れは期待していないとした。なお、この買収が配当政策や既存の3カ年資本配分フレームワークに影響を与えることはない見通しだ。

検索広告の減少、底打ちの兆し

投資家が注視していた検索広告事業におけるAIによるカニバリゼーション(共食い)の影響について、経営陣は慎重な見方を示した。AIによる即時回答が検索回数を減らすというトレンドは、LY側も想定内であり、自社のAI回答フォーマットへの移行とも整合的であると説明した。これを補っているのがマネタイズ効率の改善だ。LYは保有データを活用してクリック単価(CPC)を引き上げており、プロダクトミックスも高利益率の運用型広告や「LYPプレミアム」会員へとシフトしている。ゴールドマン・サックスの南宗方氏からの「想定通りか」という問いに対し、経営陣は検索広告単体でも計画通りに推移しており、各プロダクトの収益性は安定していると回答。粗利益の伸びは、各プロダクト内の収益性向上というよりは、ミックスシフトによる効果であると説明した。

PayPayとフィンテックが利益の牽引役に

PayPayを中核とする「戦略」セグメントは、売上収益が前年同期比34.9%増、調整後EBITDAが約140億円増の350億円となり、マージンは26.9%に達した。PayPay単体では売上収益が27.4%増、EBITDAが59.1%増となり、登録ユーザー数は7,400万人を突破、GMV(取扱高)もオンライン決済や利息収入の伸びに支えられ23%増加した。テイクレートの拡大がGMVの成長を上回っており、PayPayのマネタイズが単なる規模拡大のフェーズから成熟期へ移行していることを示唆している。6月に買収したT&Dフィナンシャル生命保険もフィンテックのポートフォリオに加わった。LINE Bank Taiwanの連結化を含むその他のフィンテック収益は、81.7%の増収となった。

「Agent i」はDAU 1,200万人に到達も、収益化は道半ば

LYのAIエージェント「Agent i」は25の領域に拡大し、デイリーアクティブユーザー(DAU)は1,200万人に達した。出澤氏は将来的な目標である1億人に対し「かなり良い滑り出し」と評したが、この数字はYahoo!ファイナンスのエージェントやLINEトークルームの平均値などを合算したものであり、単一の指標ではないことを認めた。より重要なのは、本格的なマネタイズがまだ始まっていないという点だ。経営陣は、消費者向けサブスクリプション、法人向けAIツール、AI広告の3つの道筋を検証中だが、具体的なモデルは未定であると認めた。Agent iはLYが掲げる成長ストーリーの核心であるだけに、その収益モデルの未確立は今後の課題となる。

セブン&アイとの提携とコマースのモメンタム

新たに発表されたセブン&アイ・ホールディングスとの提携は、LYのデジタルユーザー1億人とセブン-イレブンの1日2,000万人の来店客を融合させるものだ。LYPプレミアム会員への特典強化や店舗クーポン、公式アカウント・ミニアプリの共同開発を進める。これにより、すでに前年同期比36.8%増の682万人に達しているLYPプレミアム会員数を、1,000万人目標に向けて押し上げる狙いだ。コマースセグメントの売上収益は12.5%増、EBITDAは10.2%増となり、マージンは17.3%まで回復した。「Yahoo!ショッピング」はPayPayポイント還元キャンペーンが奏功し取扱高が8.6%増加。さらにトレーディングカードなどの高単価なエンターテインメント商材が好調で、「Yahoo!フリマ」および「ヤフオク!」双方の平均販売単価を押し上げていると、執行役員の秀誠氏は指摘した。

経営陣は、販管費の正常化やふるさと納税の季節要因の剥落により、第2四半期の利益成長は第1四半期から緩やかになるとの見通しを示した。しかし、坂上氏は締めくくりの挨拶で、今期のスタートを踏まえ「連結目標の達成にはより自信を深めている」と述べ、通期ガイダンス超過への意欲を改めて強調した。

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